音楽

2013年10月 7日 (月)

サイレントギター

そういえばちょっと前にギターを買ったのだった。ブログに書いてなかった。YAMAHAのサイレントギターというやつ。

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高校時代。

ギター弾けばモテるという神話を頑なに信じて挑んだギターだったけれど、じっさい、モテ無かった。というか、そもそもギターを披露する場所が無かった。

僕の故郷は寂れた田舎の港町であり、近くの(無人)駅まで歩いて二十分かかる場所に自宅があった。コンビニまで徒歩十五分で、そこに行くまで誰一人として出会わないような、そんな場所だ。かといって田園風景が広がっているというわけではなく、住宅地とシャッター通りしかない。やっと人に出会ったかと思うと、細い路地をまるで「ここを通りたくば10ゴールド置いていけ」といわんばかりの風貌をした時代遅れのヤンキー。問答無用でかつあげの憂き目にあってしまう。都会は治安が悪いと人は言うが、実は寂れた田舎町の方が治安は悪かったりするから注意が必要だ。

そんな世紀末感溢れる我が故郷でギターなんて抱えて歩いたら間違い無く五分後には強奪されるだろうし、それどころか、一体、どこで演奏したら良いものやら不明である。ましてや学校に目的も無くギターなんて持って行った日にはもう変態である。ただでさえ変態的言動で評判が悪かった僕がこれ以上評判を落とすわけにはいかなかったのだ。ゆえに、僕はギターを練習しても誰にも披露できないギター難民になったのだった。

だが、時が過ぎて、大人になり、モテるために何かを頑張ろうという気がさらさらなくなると、そこに残ったのはギターに対する純粋な気持ちだけだった。

「モテるとかモテ無いとかどうでも良い。俺はギターをやるんだ!」

だが、あわよくばモテたい。くらいの気持ちである。これを純粋と言わずしてなんと言おうか。

そしてその純粋な気持ちは、ギターを限りなく面白いものにした。歯ごたえの少ない昨今のゲームたちに馴染まず、対戦ゲームに疲れた僕に取って、ギターが持つ地獄のような難易度と、いくら遊んでも終わりの無い奥の深さは、実に新鮮だった。CDで何百回も訊いているギター曲が、自分の手で弾けるようになることの喜び。聴き慣れた曲に新たな発見があるという点も良い。「なるほど、こういう構造で出来てたのか」とか「うほ。このコード進行はすげえ」とか、一人でTab譜見ながらにんまりしているのである。これほど気持ち悪いことは無い。

そんなことで、五月辺りからギターにえらくはまってしまい、あらゆる趣味をほっぽり出して、飽きずにせっせとアコギをやっている。はまり過ぎてしまい、夜中もギターを思う存分と弾きたくなったので、サイレントギターを購入。という運びになったのだった。とは言っても、弾ける曲が増えたくらいでそんなに腕は上達していないが。

実際のところ、サイレントギターといえども、けっこう音は出る。エレキギターの生音ほど大きくは無いけど、それほど大きく違いがあるわけでもない。ただ、弾き心地はアコースティックギターなので、やっぱりアコギの代わりにエレキで練習するよりは断然良い。逆に、エレキの練習する人はわざわざサイレントギターを買う必要は無い。

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2013年8月 7日 (水)

ポールマッカートニー

元ビートルズのポールマッカートニーが日本に来るらしい。

という話を訊いたとき、「は?」と思った。冗談はよせと。ビートルズなんてバーチャル世界の物語だろうと。だって僕が物心ついた時は、ジョンレノンなんてのはいなかったぞと。だからきっとポールマッカートニーなんて存在しないに違いないと。いたのはリンゴ・スターだけなんだ。

だが事実らしい。僕は家に帰って急いでグーグルで「ポールマッカートニー 来日」と検索して、それが事実であることを知った。その瞬間、僕の頭の中には数々の名曲達がよみがえった。「Here,There and Evrerywhere」、「Lovely Lita」、「BlackBird」、「All my Lovingetc...今でも車の中で延々とビートルズやボブディランやジョニ・ミッチェルばかり聴いている60年代脳に犯された僕に、ポール来日の衝撃は大きかった。普段、引きこもりを極め、一人鎖国政策を実践していた僕が、この時ばかりは胸が躍り、つい先行予約に申し込むほどだったからよほどと言える。

その結果、抽選が通り、アリーナの良さそうな席を手に入れることが出来たというわけだ(あまりにもライブに縁がなさ過ぎて、アリーナってどういう意味? と思って検索したのは内緒)。チケットが当たった時も嬉しかったが、発券してから、前から三列目の席だという事実を知ったときも多いに喜んだ。あとはポールが元気に来日してくれることを願うばかりである。

ちなみに僕が申し込んだのは福岡。理由は金曜日に公演があるのが福岡だけだったからだ。東京ドームは倍率も高かったそうで、結果的に福岡を選んで正解だったようだ。

福岡と言えば、数年前に出張で行って、友人と一週間ラーメン縛りを実践した思い出がある。最終日にはすっかりラーメンにも飽きてしまって、ラーメンセットのライスに明太子をこっそりかけて食べるという荒技までこなした。福岡といえばそのラーメン縛りの記憶しかない。こんなことでもないと九州に行く機会は無いので、ライブのついでにもう一泊ほどして、九州旅行をしてこようかと考えている。ラーメン縛りの思い出をそれで上書き出来れば幸いだ。

そんなことで、ここ数日は九州の観光ガイドなんかを立ち読みしている。年甲斐もなく少しわくわくしている。

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2013年7月16日 (火)

ATH-CKM99を買った

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出張の帰り、ビックカメラに行き壊れたイヤホンを新しくした。ブログを始めてから、これで3つ目のイヤホンになる。何だかいつもボーナス時期を狙ったようにして壊れているような気がする。

最初がゼンハイザーで次がオーディオテクニカ。今回、またゼンハイザーに戻そうと思ったのだが、ビックカメラで二時間ばかり吟味した結果、またオーディオテクニカのやつにすることにした。何となくイヤホンとかスピーカーは、ヨーロッパのメーカーの方が良さそうな印象はあるけれど、自分はオーディオテクニカが一番しっくり来た。まあ、僕は酒の善し悪しと音の善し悪しに疎い人間なので、あまり参考にはならないと思う。

前回のオーディオテクニカと同じようにベースや打楽器の音はとても心地よく響く。そして、日本人の甲高い女性ボーカル声や、強烈なハイハット音がちょっと耳に刺さる感じ(慣れると何も感じ無くなる程度)。

なんにしても、ここ二週間ほど、アップルの純正の謎めいた形のイヤホンを使っていたので、それに比べたら雲泥だ。アップル純正のイヤホンは音質はともかく奇抜な形状をしていて、耳にはまらないのが厳しい。

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ぴかぴかしてるのが良い。

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2013年4月18日 (木)

輝かしい過去

先週の土曜日辺りから体調が復活し、何とか仕事にも復帰できた。枝豆片手にビールを飲むくらいにも体調は回復しており、昨日は、枝豆を勢いよく吹き飛ばして行方不明にさせる荒技まで放った(未だ行方知れず)。枝豆を飛ばせるくらい力が戻っているならもう大丈夫だなと僕は確信した。風疹で熱が下がらず、枕を涙で濡らしている間、僕はずっとビートルズを聴いていた。

小学五年生の時、兄の部屋からこっそりくすねたLet It Beeのアルバムに入っていた「I Me Mine」と「Across the Universe」に惚れた僕は、その後、かなり時間をかけてほぼ全てのアルバムを集めた。初期のビートルズの曲くらいしか知らなかった僕は、当時、ビーチボーイズやクイーンの方が遥かに好きだったが、「Let it Bee」のアルバムを聴いて、考えを改めることにしたのである。

ビートルズで一番好きな曲は何かと問われてもその時になってころころと変わるので一概には言えないが、たぶん一番訊いたのは、「Strawberry Fields Forever」と「Blackbird」かも知れない。「Blackbird」はギターを覚えるため、大人になってからの方がよく聴いた。「All my Loving」と「Fool on the hill」も高校の時はひっきりなしにきいていた。一番好きなアルバムは昔から変わらず「ホワイトアルバム」で、ポールマッカートニーの曲が好きだ。

僕は大体、病気になったときは音楽を聴かないようにしている。音楽を聴くと病気のイメージが曲に焼き付いてしまうからだ。だけど風疹の最中はずっとビートルズを聴いていた。ビートルズの曲ならば、思い出が強すぎてたぶん、病気のイメージが焼き付かないと思ったからかも知れない。

風疹で寝込んでいる間に良く聴いたのはRevolderのアルバムだった。ジョージの名曲「Taxman」から始まり、屈指のバラード「Here, There and Everywhere」、テンポの良い「She Said She Said」、「And Your Bird Can Sing」。現在のポールの曲作りにも通じるような「For No One」。密かにこのアルバムの中で一番好きな「Doctor Robert」と続いていく。最後にはその後のビートルズの方向性を決定づける名曲「Tommorrow Never Knows」。たぶん、寝込んでいる間、八十周くらいは聴いたと思う。全く飽きなかった。

次に沢山聴いたのは実質のラストアルバムである「Abbey Load」。ジョージの曲の中で一番好きな「Hear Comes The Sun」が入っている。ジョンレノンの長編「I Want You」が途中でぷつんと途切れ(ジョンレノンが「ここだ」といってそのタイミングでテープを止めたと言われている)、その後に「Hear Comes The Sun」が静かに始まる部分が、夜の嵐が止んで、晴れやかな朝を迎えたように感じて僕は好きだ。ただ、当時はレコードのA面とB面の変わり目だったから、意図した演出ではない。これも五十周くらい回した。

熱が下がった辺りで母親から数ヶ月ぶりくらいに電話がかかってきて「ビートルズをずっと聴いてた」と告げると、「あんたはもっと未来を見なさい」と言われた。確かに、そうかも知れない。僕はまだ過去を振り返るにはちょっと早すぎる。でも一体、未来ってどこに転がっているのだろうか。棚の中や段ボールの中を探ってみたけれど、そこには未来なんてどこにも無かった。あるのは輝かしい過去ばかりである。

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2013年2月16日 (土)

暗闇坂むささび変化

大体、一ヶ月に一度、はっぴぃえんどのアルバムを聴いている。
はっぴぃえんどの中でどの曲が一番好きかというと、まず答えられないが、ベスト5をあげよと言われれば、間違いなくこの曲を入れるであろう。


古き良き東京を連想させられる音律と歌詞である。1971年の作品。名曲とは色あせぬものである。

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2013年1月30日 (水)

君がその脇から目をそらすことはもう不可能である。

サビの破壊力(ポーズ的な意味で)はすごい。

さあ、諸君、両手を空へ掲げるのだ。

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2013年1月 9日 (水)

トクマルシューゴ

最近は車でトクマルシューゴをかけている。個性がありつつもポップにきかせてくれる。なかなかいいミュージシャンである。La La Radioという曲が一番好き。

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2012年12月31日 (月)

Miracles

飛行機に乗っているとき、新幹線に乗っているとき、そんな時だけ僕が必ず聴く曲がある。それはPet Shop Boysの「Miracles」だ。

この曲は僕が社会人になって数年が経ち、一人で新潟県のどこだかに出張に行かされたとき、飛行機の中で流れていた思い出の曲である(あのイヤホンをさして聴くやつだ)。なぜこの曲が僕の思い出の曲となったのか、その経緯について書いてみたい。

僕はこのとき、飛行機に乗るのが人生で二度目で、しかも一度目が二歳の時だったから、実質的に言えば生まれて初めて飛行機に乗るのと変わりなかった。僕は飛行機というものがファンタジー世界の物だと思っていたし、「まさか鉄のかたまりが空を飛べるはずがない」と本気で信じていたので、飛行機に乗って出張に行けという命令は、タイムマシーンに乗って五十年前にいけ、と言われているのと同じような気分だった。「そんな非科学的な出張などあるはずがない」僕はそのとき酷く抵抗したものである。

しかしいくら抵抗しようにも僕は立派な社会人である。そんなわがままなど押し通せるはずもなく、僕は当然のように出張へ行くこととなったのだが、「で、いつ行くんですか?」と問いかけた時のあの上司の表情を僕は未だに覚えている。上司は白髪だらけになった眉毛をくいっとあげ、得意そうな顔をし、独特のだみ声でこう告げた。「明日だけど」

その意外な答えにはさすがの僕も仰天したものだ。いま右手にポップコーンでも持っていたとしたら中身をすべて事務所中にぶちまけてしまうのではないかと言うほど、体全体で驚いた。

僕は必死に「パスポートは! 取る時間無いですよ!」だとか、「現地時間は何時になるんですか」などと言って上司を苦笑させたりもしたが、翌日の出張という事実に変わりは無く、僕は渋々出張の準備を始めるのだった。

出張の準備をしながらふと気づいた問題点。それは、僕自身、スーツを所持していないということだった。いや、正確には所持しているのだが、唯一所持していたスーツはタンスの奥底でゴミくずのようになっていて、とても着られるような状態ではなかったのである(仕事場では普段、作業着を着ていたのでスーツの出番はなかったのだ)。

それでもスーツはその一着しかないし、スーツを買いに行こうにもそんな時間が無い。まさか普段着で出張に行くわけにもいかないから、僕は仕方なしに、半泣きのままアイロンでスーツのしわを伸ばした。だけれど、スーツについたしわがそんなアイロンごときで何とかなるはずはなく、へんてこな折り目はどうしても落ちることはなかった。

当日の早朝。僕は靴箱の奥でカビが生えそうなほど放置されたブーツを履き、くだんのスーツを眉をしかめながら着た。で、それを姿見に移して見るのだが、やはりどうにも違和感があるのだ。スーツを着れば、誰しもが立派なサラリーマンになると思うだろう。だが、このときの僕の姿は、明らかに浮浪者そのものなのである。あるいは”ちょっとこぎれいな浮浪者”であり、なんにしても浮浪者の域を脱することができないような酷い格好だった。

僕はこの格好を衆目に晒す勇気と、このまま出張をサボり会社から大目玉を食らう勇気とを天秤にかけたが、やはりここは社会人として、日本国を将来支える立派な大人として、どうしてもサボるという選択肢は無かった。僕は意を決し、玄関のドアを開け放った。

始発の電車に乗り、飛行場まで行き、手続きを済ませ、飛行機に搭乗したあたりまで、僕にはろくな記憶が無い。それくらい僕は無我夢中だったし、頭の中が混乱もしていた。常に羞恥心があったから顔を上げて歩行することもできないでいた。そんなことで、座席につきやっと一息ついたのだが、僕に降りかかる地獄はそれだけで当然終わるはずはなかった。

座席につくと、羞恥心や焦りは一気に消え失せて、僕は飛行機が浮かびあがる瞬間を心待ちにするほど心に余裕がでてきた。実質的に初めて乗る飛行機だからわくわくするなという方が無理であろう。車両が動き出し、ものすごいパワーを携えながら機体が空に浮かび上がったときの僕の気持ちと言ったら、まるで別の次元に足を踏み入れたかのような興奮状態だった。それで、飛行機は高度を上げていき、やがて僕の体は地上からぐんぐんと離れ、大空に飛び立ったのだが、その僕の興奮が最大に達したその瞬間である。僕はこれまでに感じたことの無いほどの原因不明の頭痛に襲われたのである。

これは鼻炎持ちの人が飛行機に乗る際によく出てしまう頭痛であることを後で知ったのだが、それはともかくとして、頭の血管が膨張して今にも吹っ飛んでしまうのではないかと思うくらいの激しい頭痛で、とても耐えられるものではなかった。

僕が頭を抱えながらのたうち回るものだから、あたりは騒然となった。近くのサラリーマンは僕の異常を察知し、客室乗務員を呼ぶし、その彼女は彼女で、僕をどうしたら良いものやら困り果てている様子であった。一方の僕は頭が痛くてもう何も考えることが出来ないし、こんなみすぼらしい格好で回りから注目されてしまい何とも恥ずかしいというのもあって、体のあちこちから嫌な油汗が噴き出して仕方ないのだった。

僕はとりあえず温かい飲み物をもらい、この地獄を乗り切るべく、長い瞑想に入ったのだが、それでも頭痛が治まる気配がなかったので、わらにもすがる思いで、座席脇にあったイヤホンを耳に差し入れた。

そんな最悪な状態の時に、ラジオで流れていたのが、例のPet Shop Boysの新曲「Miracles」だった。あまり英語は聞き取れないけれど、サビの部分だけは歌詞がわかって、それが妙に飛行機の窓から見える景色と通じるものがあったから、僕は何とか、心を落ち着かせることができたのである。この曲に命を救われたと言うと少し大げさだが、この曲が無ければ僕は最後まで嫌な汗をかき続けていたに違いない。

結局、飛行機を降りても頭痛は1時間以上おさまる気配はなく、出張先の営業さんに心配されたり、予定の打ち合わせは体調不良により早めに切り上げ、「俺はもう新幹線で帰る! 誰がなんと言おうとも!」と豪語して本社の人を困らせたりと、まあ、これまた散々な出張となってしまった。今は頭が痛くならなくなる方法を教えてもらったので、ある程度は飛行機も平気になったが、当時のことを思い出すたびに、なんだか恥ずかしくて切ない気持ちになってしまうのである。

年末は実家に新幹線で帰るけれど、iPodにはこのPet Shop Boysの「Miracles」を入れて行くつもりだ。飛行機に限らず、乗り物に乗って遠くへ行くときは、いつもこの音楽が僕の耳元で鳴りひびいている。

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2012年11月12日 (月)

無限残業とElectric President

働き過ぎなので少し休み給えというありがたきお言葉が。ただし、

「その代わり、今週は死ぬ気で働け」

という言葉も合わせて手に入れており、要するに非常に疲れている。

最近の癒しソングはElectric President。イヤホンで聴くと非常に心地よいバンドである。昼休みは彼らの音楽を聴きながらねむりの世界へ旅立つ。そのまま帰ってこない事も稀にある。この音楽のおかげで僕はインソムニアから解放された。

それにしても、バンド名がとても良い。

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2012年10月29日 (月)

さいきんのトムヨーク

最近のトムヨークは実に良い。ヒット曲を連発していたかつての頃よりも。今でこそ、レディオヘッドのファンな僕ではあるが、実のところ、当時、大ヒットとしていた頃はOasisの方が三倍くらい好きだった。Fake Plastic Treeだけは好きだったが、それくらいだった。だけれど、Kid A以降、売れ線狙いのロックから身を置いたレディオヘッドを聴いてから、徐々に好きになっていった。今ではOasisの三倍くらい好きである。

前も書いたかも知れないが、あるミュージシャンが老人ホームで歌うことになったという記事を以前どこかで読んだ。で、そのミュージシャンは老人ホームの人達はいろいろな思いがあって暗い気持ちになっているだろうから、明るい曲を歌おう。そう思って、明るくて前向きな歌を歌ったそうである。だが、老人ホームの人達はそれに良い反応を示さなかった。コンサートが終わった後、ミュージシャンは老人たちにその事を尋ねてみると、こういう返答があった。

「我々にはもうそういう明るい曲は、必要無いんですよ」

暗い気持ちになっているから明るい音楽を聴く。それはそれで正しい事なのかも知れないが、老人に取って、そうではなかったのである。確かに、未来はある、希望はある。そう歌われても、老い先短い老人たちには酷な話だ。

暗い気分の時に明るい曲は聴きたくない。かと言って暗い気分の時に暗い曲を聴くとどこか気分がダウナーになってしまい、駄目スパイラルに陥ってしまう……。それは我々のような未来無きジャパニーズジェントルマンにも当てはまるのではないだろうか。

では、我々は一体どんな音楽を聴けばいいのだろうか。暗い曲なのに、なぜか気分が落ち込まない。そんな音楽はあるのか。

そういった矛盾を解決するための答え。それがこの曲だ。

ダークなサウンドをバックにトムヨークが珍妙なダンスを踊り続けるこのPV。暗い曲と明るいダンス。これが我々のような暗い気持ちを持った未来無き大人たちが視聴すべき音楽では無いかと核心したものだ。ただ、このダンスを冷静に観たいまとなっては、その核心もどこか揺らぎつつはあるが。

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